ひぐらしのなく頃に

プレイ終了。お疲れ俺。もうゴールしてもいいよね?
トータルして面白かったです。
この時点での感想を書きますが、ネタバレを含むので、隠しておきます。
なお、あなたにはこの感想を拒否する権利があります(笑)。
今まで出た分もやらずにためてる人が、僕の周りだけで三人もいるんだけど、この最終回が出た熱が冷めないうちにたどり着かないと楽しくないと思う。
今までの推理の献酬ができなかった分だけ相当損してるわけだし。

総評

かなり楽しめました。
僕にとってはゲームとはコミュニケーションの題材という側面があって、そういう意味では定期的に出て、しかも考えをぶつけ合う余地の大きいこの作品は、非常に有効でした。
ゲーム自体は、どうやっても手詰まりになる閉塞感が、解決を求めるモチベーションとなって、非常にプレイ意欲をそそるものだったと思います。
ストーリーとしては、そのメッセージには納得できるところもできないところもあるのですが、それはそれでよしと思います。
一から百まで僕と考えが一致するような作品があったらそれはそれで気持ち悪い(笑)。

欠点

まず作品の売り方が若干卑怯だったこと。
ホラーなのかミステリなのかサスペンスなのか*1、さらには作者がどういう意図でこの作品を書いているのか、大半の人には後半までわからなかったのではないかと思います。
作者としては構造を見抜いてもらうのが意図だったと思われますが、大半の人は因果関係を考えることに終始してしまったように思われます。
それは売り方の問題だったと思うんですね。
この作品は、ミステリとしては破綻していながら*2推理することをを要求します。
結果として、何をどうすべきなのか非常にわかりにくい作品であったことは、その破綻とあいまって、ずるい点があったと言わざるを得ません。
(そこまで含めて推理を要求してるのだという主張はもちろん可能だとは思いますが)
あとは、文章がヘタクソなこと。
語り手がいちいち前に出てきて解説したり意見を述べたりってのは、僕はちょっと……。
描写をセリフで具体的に言うことでやってしまうところもマイナスポイント。
ご都合主義なのは、これがカケラを集めて人為的に作った世界なんだから当然といえば当然でしょう。

美点

それでもなお僕がこの作品を評価するのは、オリジナリティと意欲あふれるいくつかの試みがなされてるからです。
ループもの、というとYU-NOとか先行作品のほうが出来がいいのですが、これはさらにルールをいくつか重ねるというややこしい構造に取り組んでますね。
それを透かすためには、この発表の仕方は致し方なかったところもあると思います。
伏線を引き、世界観を一貫させた態度は、創作者としてすばらしいと思います。

感想

はじめは、梨花や沙都子の両親の残酷な死の上に成立したハッピーエンドなんていびつだなあと思ってたのですが、裏EDまで見れば、さらにそれが回避できることもわかります。
スタッフルームのコメントから僕は、このEDに納得いかないのであれば、自分でもっといいEDを考えていいんだ、というメッセージを感じました。
それはある意味逃げなんですけど、逆に言えば、自分でもっと考えろというメッセージだともいえます。
個人的には、沙都子&魅音のスーパーレディっぷりには笑っちゃうのですが。
能力を育てる一要素には時間と経験というものがあり、訓練までした魅音ならともかく、沙都子はね。
そこまでできるなら、自分で叔父を半殺しにしなよ(笑)。
逆に言えば、レナと圭一の空気っぷりに泣けた。特にレナは正ヒロインでなかったのか*3
パッケージ独り占めまでしといてこれではちょっと……。
決戦前夜に圭一と語り合うくらいの場面はあげてもよかったんじゃね?
がんば。

*1:どれでもないんだろうけど。

*2:謎の奇病と謎の組織という仕掛けは、どんな現象も説明可能にしてしまうから。

*3:ヒーローたる圭一も影薄いんだけど。