シャルルボネ症候群

文書ファイルを整理していたら、メモが出てきた。
僕はよく物をなくすので、メモを文書ファイルで取ることがあったのだ。
内容は、シャルルボネ症候群について。
テレビで扱われていたもの。
小説のネタに使おうと思ったのだが、それが発表になることもなさそうなのでメモだけここに。
なお、文章は文意を変えない範囲で編集した。

シャルルボネ症候群とは、精神的に正常であるにもかかわらず幻覚が見える症状のこと。
実は、人間は、いつも幻覚を見ている正確には、現実そのものを見ているわけではなく、ある程度処理された物を認識というフィルタでこしたものを「見ている」に過ぎない。
そもそも見るということは、眼球から入った電気信号が、後頭葉に入力されることから始まる。その電気信号に変えられた視覚情報を、さらに後頭葉で要素ごとに分け、脳の各所に配信する。脳のそれぞれの部位では、その情報を分析にかける。色・輪郭・形・奥行き・動きなど。それらを分析にかけたあと、さらに1つに統合して、はじめて見るという作業が完了する。
なぜ要素ごとに分けるのか。それは、生きるために必要な情報を、瞬時に判断しなければならないから。つまり、生きるための動物的な本能の他に、今までの記憶・経験に基づいて、必要のない情報は、切り捨てられ、視覚情報は単純化されてから分析にかけられ、そうやって高速化を図っている。
そのため錯覚が生まれる。視覚信号を忠実に判断しているのなら、錯覚は生じないはず。例えば、奥に向かってすぼまっていく2本の線は、遠くへの奥行きを表すという判断があるからこそ、錯覚する。
その作業の結果、見えない部分も脳が補おうとする。その補完が極端に行われて、現実(実際には他人の認識)と大きく差異が生じてしまったのが、シャルルボネ症候群である。

とまあ、こんな具合。
何しろ3年前のことなんでうろ覚えなんだが、確かテレビでは常に人影が見える人を例に取っていたと思う。
実際に悩んでいる人には失礼なんだが、話としては面白いと僕は思った。
例えば今僕の前に爪切りがあるのだが、僕の見ている爪切りとあなたの見ている爪切りは違うかもしれないのだ。
僕はさらにそこから広げて、外からの働きかけで幻視を見せる可能性について考えて、ジュニア小説か何かに仕上げようとしたのだが挫折したというわけだ。
そのときケロQの『終の空』が頭をよぎったことは否めない。
これも期待外しのゲームだったなあ。
あの資料の数や哲学的な言い回しから、もっと鋭いこと書くのかと期待しすぎてしまった。
僕が定価で買ったその手のゲームは、ファントムとヴェドゴニアとこれだけなんだけど。